知ってほしい鍼の技術の特性

 人間の持つ多様性あるいは個性,病気の多彩な貌に対応して,古代から寒熱虚実などの2分法プログラムによって,補瀉や迎随をはじめとするさまざまな対処法が考案されてきた.また鍼灸界の現状を見ると,この20〜30年は激動の時代にふさわしく,新しい見解や技術など数多く提唱されている.

(1) 鍼灸の技術とその応用
  鍼の補瀉 − 深浅,太さ,時間,速度,方法,経穴選択,経絡に対する迎随
 鍼の方法 − 気針,散針,弾針,捻針……,雀啄術,留置針

(2) 鍼法・刺法別の針刺激の強さ
鍼刺激の強さは,すなわち患者にとってのdoseは,
  a. 深さ, b. 手技・操作, c. 刺入時間・速度, d. 本数, e. 患者の体力・免疫力, f. 術者の気力, などの総体で決まる.



 優しい・浅刺         →        →        →       深刺・強刺激 
気の針   接触針  散針    弾針  雀啄  捻転  深刺
置針(浅い→深い) (実際は、慢性的な痛みに対しては、優しい刺激の方が、より効果が出やすい。)

 軽刺激で治療を行った場合,残った症状に対してさらに鍼灸刺激を加えることができるが,深刺など大きな刺激で治療を行った場合,かなり難しくなるか,逆効果になるか、重くて失敗,あるいは引き算はできない場合が多い.
なるべく立位や座位で頚肩部に鍼をしない.

 まとめ
 鍼は,体の不調や疲れから死病まで広い守備範囲を持ち,しかも現代医学と違って個々人の予防医学を実践することができる.とくに慢性病に対しては大いに力を発揮し,シンプルで手軽,しかも安価な医療で目標を達成できる.

 ただし、鍼と言うと、ほとんどの場合、長さ3寸以上の置鍼(留置鍼/しばらくの間、放置しておく。)を使い、
刺激が強すぎる場合が多い。

 日本人の場合、(特に女性では)、強い鍼刺激では、逆に、体が受け付けない事が非常に多い。

 その場合、体に優しい(刺激がほとんどない)、気の鍼は非常に心地よく、顕著な反応を示す事が多い。

一般の鍼灸院で用いられる 「一寸鍼」。 これらは、3年間の専門学校に通う事で、誰でも扱う事ができる。 ただし実際は、技術の習得には、数十年の経験が必要とされ、それができる術者は非常に少数だ。